国民年金
〇約78万円/年
20歳以上の人は全員、公的年金に加入する必要がある。その年金を支払い続けてきた人は、国民年金を貰える権利がある。ちなみに加入期間は、昔は25年以上なければ貰えない仕組みであったが、2017年8月からは、10年間の加入実績で貰える権利が発生する。
対象者=20歳以上の人(でも実際に貰えるのは、高齢者になってから)
届け出先・市区町村役場・年金事務所に請求
厚生年金
〇約105万円(年収500万円・38年会社員の場合)
会社員や公務員は第2号被保険者で、国民年金(基礎年金)に加えて、厚生年金も受け取れる。
届け出先・年金事務所に請求
加給年金
〇38万9800円/月
65歳に達した時に、扶養している配偶者や子供がいる場合には、[加給年金]が上乗せされる。年金における家族手当にような位置づけである。
対象者=厚生年金に20年以上加入し、老齢厚生年金を受け取っている人で、一定の条件を満たす配偶者や子供がいる人。
ポイント
●65歳未満の配偶者がいて、配偶者の年収が将来にわたって850万円未満であれば、配偶者加給年金38万9800円が支給される。
●18歳になってから最初の3月31日を迎える前の子供(障害者1級、2級の子は20歳未満)がいる場合は、加給年金が支給される。
●配偶者自身が厚生年金に20年以上加入し、老齢厚生年金を受け取っている、障害年金を受けたりしている間は、配偶者加給年金は停止される(配偶者に十分な年金があると見做される為)。
届け出先・老齢厚生年金の受給手続きをすると自動的に加算
振替加算
加給年金は配偶者が65歳になると打ち切られる。加給年金は、扶養されている配偶者がいるので支給されるものであり、配偶者が65歳になれば、自身の老齢基礎年金が支給されるからだ。
しかし、1986年4月1日以前は会社員の妻の年金加入は任意だった為、加入期間が短く、年金額も少なくなっている。そこで、年金額が多くない妻には、加給年金の代わりとして、老齢基礎年金に[振替加算]がプラスされる。
対象者=加給年金の対象だった配偶者で、自身の老齢基礎年金受給が始まった人。但し、1966年4月2日以降生まれの妻には支給されない(1986年に20歳の人なので、その後、年金は強制加入となり、40年間加入することが出来て、十分な老齢基礎年金が受け取れると判断される為)。
ポイント
●振替加算額は、配偶者の生年月日に応じて異なる(加給年金額とは異なる)。
届け出先・年金の受給手続きをすると自動的に加算
在職老齢年金
〇月給と年金の合計が28万円超で減額
生年月日に応じて60歳~65歳に年金の支給が始まるが、60歳以降も働く人が増えている。働きながら受給する年金を[在職老齢年金]といい、給料が一定額を超える場合には、年金額が調整される。
対象者=働きながら厚生年金を受給する人。
ポイント
調整されるのは厚生年金部分で、基礎年金は全額支給される。
[65歳未満]
●給料と年金の合計月額が28万円以下の場合、年金は全額支給。
●給料と年金の合計月額が28万円を超えると、超えた分の半分がカットされる。
●月の給料が46万円を超えると、超えた分がカットされる。
※年金(厚生年金部分)は全額カットされると、加給年金も支給されない。
[65歳以上]
●給料と年金の合計月額が46万円以下なら年金は全額支給。
●給料と年金の合計月額が46万円を超えると、超えた分の半分がカットされる。
※年金額が調整されるのは、厚生年金に加入して働く人。労働時間が短くて厚生年金に加入していない人、自営業者として働く人は調整されず、全額支給となる。
届け出先・年金事務所
年金の繰り上げ・繰り下げ
〇約33万円(老齢基礎年金70歳まで繰り下げの場合)
厚生年金は生年月日に応じて60歳~65歳、国民年金(基礎年金)は65歳から支給されるが、希望すれば60歳~70歳の範囲で支給開始を早めたり(繰り上げ)、遅らせたり(繰り下げ)が可能。1ヵ月繰り上げると支給額が0.5%(5年で30%)減り、1ヵ月繰り下げると0.7%(5年で42%)増え、その額が一生続く。
対象者=年金をこれから受給する人。
ポイント
●国民年金、厚生年金それぞれ1ヵ月単位で繰り上げ、繰り下げを選択可能。
●繰り上げた場合は[寡婦年金]や[障害年金]を受け取れない。
●繰り下げる間、[加給年金]も支給されない。例えば、5歳年下の専業主婦の妻がいる夫が5年繰り下げると、200万円近い加給年金が受け取れなくなる。
●受取総額を考えると、繰り上げは長生きするほど損であり、繰り下げは長生きするほど得である。繰り下げの場合、受給開始から12年程度経過すると、繰り下げしなかった場合よりも受け取り総額が多くなる。但し、繰り下げていた分を全額纏めて支給してもらうことも出来る(増額は無し)ので、長生きが難しいと感じた際にも、貰い損を避けることは可能。
届け出先・年金事務所(繰り下げは受給手続きをしなければいいだけ)
国民年金保険料の免除制度
〇約16万円
自営業やフリーランスの人は、国民年金の保険料を自身で納める必要があるが、事業が上手くいっていない等の理由で納付が困難な場合に、所得によっては[保険料免除・納付猶予]が受けられる。
対象者=所得が一定以下の人や、失業した人等、保険料の納付が困難な人。
ポイント
●未納のまま放置すれば、もしもの時に障害基礎年金、遺族基礎年金が受けられない場合がある。
●[保険料免除]は、所得に応じて全額、4分の3、半額、4分の1の4種類がある。免除期間も加入期間に算入され、障害基礎年金、遺族基礎年金が受け取れる。老齢基礎年金の額にも一部反映される。
●[保険料猶予]が可能なのは50歳未満の人。その場合も、加入期間には算入され、障害基礎年金、遺族基礎年金が受けられる。老齢基礎年金の額には反映されない。
●保険料免除・納付猶予を受けた後、保険料を追納することも可能で、それにより年金額が増額される。
●学生はこの制度を利用出来ないが、[学生納付特例制度]がある。適用されれば加入期間に算入され、障害基礎年金、遺族基礎年金は支給される。老齢基礎年金には反映されない。
届け出先・市区町村