さて、比較検討することが勝利への道筋だと前回述べましたが、比較検討するにあたり、これまでの感覚や思い込みに頼ると危険です。
根拠無き希望的観測ほど、間違える確率の高いものはありません。
戦争においても、あくまで昔の槍と弓と刀で戦っていた古代の戦争ですが、戦争の勝敗とは、次の要素によって決定されるという。
国土の広狭、資源の多寡、人口の多少、戦力の強弱、勝敗の帰趨(きすう)
地形に基づいて国土の広狭が決定される。国土の広狭に基づき資源の多寡が決定される。更に、資源の多寡が人口の多少を決定し、人口の多少が戦力の強弱を決定する。そして、戦力の強弱が勝敗を決定するのである。
これらのチェックリストが正しい程、その戦いの行方は、正確に見通せるという。しかし、これはあくまでも古代の戦争におけるチェックリストであるが故に、現代人の、この平和な時代に生きる日本人には無関係である。よって、今の日本人にも使える独自のチェックリストを自分なりに作成せねばならない。
幸運を期待しない者が、最も確実な勝者になれる
人は、どうしても己惚れてしまう傾向にあります。それは人生が順風満帆に進んでいる時に、特に顕著な傾向です。
物事を判断する時に、自分の浅い経験と思い込みに頼ってしまう傾向がある人。まあ、ギャンブルとかもそうですし、大した実力もないのに、プロ野球選手とかプロサッカー選手が海外に挑戦した結果、ズタボロになって帰って来る、というパターンもあります。
希望的観測によって行動した結果でしょう。しかし、サッカー選手の本田圭祐や中田英寿は、若い頃から海外に出ることを夢見ていたのみならず、実際に語学の勉強もしっかりとしていたそうなので、すんなりと海外にも適応出来たらしい。
[戦い始めてから、慌てて勝機を掴もうとする者は、敗北するだろう]
とにかく、幸運を期待した生き方はしないことです。竹藪で大金の入ったアタッシュケースを発見した人のような幸運は、滅多に無いのですから。
孫子は敵を知り、勝つ、自分自身を知ることが、勝つ為の条件であると述べています。つまり、幸運、ラッキーに期待せずに、綿密な計画の元に行動することが肝要であると述べています。
己の能力を過信せず、己を過大評価せず、勝算が複数の点においてあるのならば、勝てる見込みは高いのです。
更には、組織にとっては、[誰かが頑張ってくれるだろう]といった希望的観測も止めるべきだ、と述べています。
とにかく、人生は、勝つ為の条件を一つでも整えること。それが肝心です。