死にたい人へのメッセージ(静)

自殺防止のメッセージ集(文章)

行動の選択肢を増やし、重圧を軽くする

[孫子]は現代人の為の[選択肢]を増やす宝庫

 

 [孫子]は、危機を前に、選択肢の広さに拘りました。

 

 戦争の仕方は、次の原則に基づく。

 

 十倍の兵力なら、包囲する。五倍の兵力なら、攻撃する。二倍の兵力なら、分断する。互角の兵力なら、勇戦する。劣勢の兵力なら、退却する。勝算が無ければ、戦わない。

 

 戦場を前にして、退却するとか、戦わないといった選択肢は、一見すると、臆病者と罵られそうです。侮辱されそうです。しかし、戦うことばかり、前進することばかりが選択肢ではないのです。長い人生、時には、一時的に退却したり、じっと待機している方が有効な時間もあるのです。

 

 新規事業を検討した結果、成功する見通しが立たないと判断した時、そのプロジェクトに既に多額の投資をしてしまっていた場合に、止める決断が出来るか。赤字事業から撤退する決断が出来るか。

 

 AI、つまり人工知能ならば、人間に備わる喜怒哀楽の感情が無く、完全に損得勘定のみしかプログラムされていない故に、簡単に撤退する決断をするでしょう。

 

 しかし、人間には思い入れとか、これだけ努力した結果が、これかよ?これっぽっちかよ?といった、情に流される危険性が十分過ぎる程に備わっているので、そこは十分に注意すべきです。

 

 感情が、今、取れる選択肢を狭くしてしまう実例は沢山あります。怒りや悲しみの感情の結果、又、惜しむ気持ちの結果、最も損失の少ない手段を採用することを、人は度々躊躇します。

 

 

[もう〇〇しかない!]と勝手に思い込む愚かさ

 

 依存や希望的観測の危険性について、これまでにたっぷり解説してきました。しかし、この過度に狭められた選択肢しか思いつかない危険性についても、十分に把握しておく必要があります。

 

 [音階の基本は、宮、商、角、微、羽の五つにすぎないが、その組み合わせの変化は無限である。色彩の基本は、青、赤、黄、白、黒の五つにすぎないが、組み合わせの変化は無限である。味の基本は、辛、酸、かん、甘、苦の五つにすぎないが、その組み合わせの変化は無限である。それと同じように、戦争の形態も[奇]と[正]の二つから成り立っているが、その変化は無限である。[正]は[奇]を生じ、[奇]はまた[正]に転じ、円環さながらに連なって尽きない]

 

 孫子は、過去の戦史から多くの選択肢を発見しています。

 

 申包胥(しんぼうしょ)という人物は、親族を殺された祖国に恨みを持つ伍子胥が、「必ず楚を倒してみせる」と語った時、「まあ、頑張りなさい。君が楚を倒したら、私が立て直してみせるから」と語りました。

 

 その後、彼は伍子胥が呉の軍勢と共に楚を破った時、戦火から逃れて秦の哀公(あいこう)に助けを求め、七日七晩にも渡り、飲まず食わずで嘆願して哀公を動かし、楚を救いました。

 

 何一つ持たない人間でも、一国を救う選択肢さえあるという事例です。故に、今直ぐに死にたい人であっても、実は生きる道は残されているということです。ただ、あまりの暗い感情の為に、その光の道が見えなくなっているだけです。

 

 勿論、自己破産とかの道は、屈辱も伴うので、自己破産する位ならば自死する、という信条の人もいることでしょう。だけど、生き残る道があるのならば、その道を進むのが、人として自然なのではないでしょうか。つまらぬプライドや感情に阻害されて、生きる道を自ら放棄するのは、愚行だと思います。

 

 焦りで潰れそうな時にも、選択肢は無限に存在していることを忘れてはならない。

 

 

 終わりに☆

 

 さて、今まで様々な孫子の兵法に基づく教えを紹介してきました。他にも色々と教えは本に載っていたのですが、それらは組織としていかに生きるかとかに関する情報ばかりで、今直ぐにでも死にたい人向けには役立たないような情報だったので、割愛します。

 

 以上、孫子の兵法に学ぶ、でした。多少でもあなたの人生に役立つことが出来れば、紹介した甲斐があります。

 

 齋藤健一