努力の証が見える時点で、二つのことを間違えている
汗をかいて必死になって仕事をしていると、周囲から頑張っていると思われるでしょう。しかし、孫武は明確に、この[努力の証]を否定しています。
[毛を一本持ち上げたからといって、誰も力持ちとは言わない。太陽や月が見えるからといって、誰も目がきくとは言わない。雷鳴が聞こえたからといって、誰も耳が良いとは言わない。(中略)それと同様に、昔の戦上手は、無理なく自然に勝利した。それ故に、勝利しても、その人の智謀は人目に付かず、その勇敢さは人から賞賛されることはない]
なぜ、これ程までに孫武は、目に見える形の努力を否定するのか?その理由は二つあります。
一つは、最初から問題が起きないようにすべきだから。仕事ならば、普段からの仕事ぶりに問題が発生する要因があるから、後々になり奮闘努力する必要が生じる。最初から問題が発生しないように徹底しておれば、汗をかく必要もない。
二つ目は、物事を始める前に、相手と大差をつけておくことが肝要である、ということ。プロのスポーツマンと、そのスポーツを始めたばかりの初心者が対戦すれば、簡単にプロが勝つでしょう。
同程度の実力の間柄のみ、実力が伯仲しているが故に汗水垂らす必要が発生すると。
例えば超魅力的な商品ならば、なにも営業マンがペコペコせずとも、客の方から売ってくれと殺到するのです。それならば、労せずに大金を稼げます。それは、開発段階で他社製品とは圧倒的な差を付けているから為せることです。
それが、目に見える段階で汗をかくのはバカげたこと、と孫武が言う理由なのです。勝つのならば、もっと早い段階で奮闘努力し、実際の戦闘時には涼しい顔をしていなければならない、ということです。
もう一つの戦略は、事前に相手を味方に引き入れるということです。
[相手を傷付けずに、無傷のまま味方に引き入れて、天下に覇を唱える]
可能ならば、誰かしら、協力者がいるに越したことはない、ということです。やはり、今、私は独力でこのようなことをしていますが、一人での作業量はたかが知れています。
まあ、これは単なるブログなので一人の方が都合が良いのですけど、これが商売をするとなったら、やはり利益を折半せねばならないとしても、誰かしら協力者がいた方が、ビジネスは上手く行くのだと思います。まあ、商売はやったことがないので分かりませんけど。