さて、孫子の兵法が書かれた時代における[敵]とは、すなわち、同じ中国人の敵国の兵士でした。しかし、現代の日本人は、戦国時代の日本人とは異なり、もう日本人同士で殺し合いはしていません。たまに殺人事件が起きる位です。
では、現代における敵とは、一体何が該当するのでしょうか?
それは、新しく始める物事だという。一見すると、それは別に敵には見えないかもしれません。しかし、全く新しく取り組むことならば、それすなわち、未知なる対象であるからして、よく分からない敵なのです。
敵というのは、何も殺し合いをする相手、シェアの奪い合いをするライバル企業の社員のみではないのです。
[敵を知り、己を知るならば、絶対に敗れる気づかいはない。己を知り、敵を知らなければ、勝敗の確率は半々である。敵を知らず、また自分自身のことも理解していなければ、確実に破れる]
ということです。
結婚生活に大切なこととか、育児における注意せねばならない事項とか、よく調査しているでしょうか?
また、例えば受験勉強ならば、効率の悪い勉強の仕方をしていないでしょうか?進学希望の学校・学部について、その周辺の地理、そして将来設計、全て描けているでしょうか?
私も他人のことをとやかく偉そうに言える立場ではないのですが、孫子の兵法に書かれているので、私もタイピングするのと同時進行で学んでいる最中です。今、この本を読みながら、タイピングしながら学習している最中です。
人は運命を操ることは不可能です。まあ、運命というよりも、避け得ない出来事のことを、宿命と呼びます。その宿命は避けることは絶対に出来ません。しかし、運命というのは、その場その場での己の決断次第で、大きく右に傾いたり、左に傾いたりします。故に、大事な決断、人生を決定付ける重要な決断は、けっして間違えてはならないのです。
それ故、その対象となる物事について、徹底的に学習することが肝要とのことです。
中でも、他人の失敗談からは多くのことを学べます。且つ、自分が同じ間違いを犯さずに済みます。例えば、他人がカードローンで自己破産に追い込まれた事例を予め読んで学習しておけば、銀行発行のカードローンは、たとえ大手銀行の名前であっても、危険極まりないもの、ということが学習出来ます。
勿論、成功体験からも多くのことを学べますが、人は栄光にばかり目を向けがちであり、失敗談は隠蔽する確率が高い。故に、同じ落とし穴に落ちない為にも、他人の失敗談にこそ、危機を回避する要素が詰まっていると理解すべきです。